めぐり逢えたのに
私があまりに目をキラキラさせ嬉々とした顔をしていたらしく、佐々倉は最初はまじまじと私の顔を覗き込み、そのうちにそれは暖かな眼差しに変わった。

「うまくいってるみたいで何よりだ。君のそんな顔を見るのは初めてだよ。本当に良かったね。」

祝福されるって幸せなことだ……。

それからも、スカイツリーから叫ぶ代わりに、私は彼のことをずっと話していた。佐々倉は黙ってニコニコと私の話を聞いていた。

不倫みたいで(というか現実に不倫なので)、彼とのことは誰にも話ができなかったから、こうやって、心置きなく誰かに彼のことを話せるというのは楽しいことだった。

「あの時、佐々倉さんが後押ししてくれたから、彼に会えたんだもん。本当に感謝してる。ありがとう。」

「いえ、どう致しまして。」

「ねえ、今度四人で会わない? 私、しおりさんに会ってみたいし、二人に彼をちゃんと紹介したいし。」

「そうだね、じゃあ、そうしようか。」

佐々倉と私は、みんなで食事にでも行く事を約束して、四人の前途に祝杯をあげた。



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