めぐり逢えたのに
そのことを言うと、彼はちょっとだけ情けない顔をした。

「最初に教えてよ、そういうことは。オレは、まんまと万里花さんにだまされたってこと?」

「別に、騙してないよ。話すチャンスがなかっただけだよ。まさか、あんなに怖がるなんて思ってなかったしね。」

まだ少しむくれてるから、私は可愛いなあ、と思いながら彼にキスをした。

「機嫌なおして。それに私をかばってくれたから、すごく嬉しかった。安心した。」

彼は、私にキスをちゅっと返して、でも、まだ面白くなさそうな顔でぼやいた。

「当たり前だろ。ぼーっとしてたら万里花さんが襲われた、なんてしゃれになんないよ。」

私は、なんか大好きだなーって思って、彼に襲いかかった。



五日間、私たちはリゾートに泊まり、たっぷり遊んで東京に戻った。



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