めぐり逢えたのに
「ねえ、これからどうする?」
「どうするって?」
「ずっとこのままでいいのかな。」
「万里花さんはどうしたいの?佐々倉と結婚を続けたいの、それとも離婚したいの?」
「考えたくない。」
「じゃあ、考えが固まったら、またこの話をしよう?」

結局いつもと同じだ。
こんな風に煙に巻かれてしまって、彼の考えている事を聞いた事がなかった。

今はいいけど、佐々倉や戸川の両親にばれたり、いづれ子どもが欲しくなったりしたら、この生活は多分、すぐに行き詰まる。

そう思うと、憂鬱この上なかった。

私も、彼も、佐々倉も、危ういバランスの上に成り立っている無責任な生活だ、ということは薄々気付いていた。そのバランスは、少しずつだけど、確実に変わりつつあった。


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