めぐり逢えたのに
その時は、それで納まったように見えたのだが……、
佐々倉の何が悪かったのか、唐沢美穂は佐々倉に執着した。

「室長、最近、アタシのこと避けてませんか〜?」

大胆なほど短いスカートで、美穂は佐々倉の目の前で脚を組んでみせる。
三つ目のボタンを開けたシャツの襟からは、胸の谷間がしっかりと見えていた。

無視しても、触ってもセクハラと言い出すに違いない美穂に、佐々倉はすっかり頭を抱えている。



「戸川でしおりのことが公になったら、さすがにまずいだろ?結構多くの人が万里花の顔を知ってるし、唐沢くんは、オレがしおりと一緒にいるのを目撃してるし、唐沢くんの言いなりになっちゃってるんだよな……。」

佐々倉は力なく呟いた。
 
「それ、まずいじゃない、結構、まずいじゃない。」
「そうだよ。それで、ひとまず万里花たちには話をしておかないと、と思って…。」
「何よ、そんなことになってるなら何でもっと早く、話してくれなかったのよ。で、しおりさんは?何て言ってるの?」



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