めぐり逢えたのに
そんな風に、用心しいしい窮屈な毎日を送っていたのに、ある日、私が仕事から帰ると、佐々倉のお義母さんが、佐々倉としおりさんを前にして私のうちのテーブルで三人が座っている場面に遭遇した。
佐々倉のお義母さんは、数枚の写真を二人の前に差し出した。
「これが、私のところに送られてきました。しおりさん、あなた、私に隠れてコソコソと直樹と会っていたんですね。」
お義母さんは能面のような顔だった。
「直樹、あなたも万里花さんという妻がいながら、どういうことですか。まだ、しおりさんと切れてなかったんですか。」
二人は無言のまま下を向いていた。
「しおりさん、直樹と別れて下さい。そして金輪際、直樹に近づかないでください。」
「待って下さい、お母さん。オレたちはうまくやっていたんだから、そんなこと、お母さんに言われる筋合いありませんよ。」
「何を言っているんですか。こんな写真が送られて来たということは、あなたたちのことを知っている人がいる、ということですよ。もしもこの写真が表に出たら、あなたのお父様や、あなたの名がどれほど傷つくか、わかって言っているのですか?」
「お母さん、あなたが気にしているのは評判だけですか、オレやしおりの気持ちはどうでもいいんですか。」
「直樹、あなたはまだそんなことを言っているのですか?あなたは佐々倉大蔵の息子ですよ、自分の我が儘が通る立場ではないことはわかっているはずです。」
だから偽装結婚したんじゃない……、と、思わず口に出しそうになったが、佐々倉のお義母さんの迫力にとてもじゃないが口をはさむことはできそうもなかった。
佐々倉のお義母さんは、数枚の写真を二人の前に差し出した。
「これが、私のところに送られてきました。しおりさん、あなた、私に隠れてコソコソと直樹と会っていたんですね。」
お義母さんは能面のような顔だった。
「直樹、あなたも万里花さんという妻がいながら、どういうことですか。まだ、しおりさんと切れてなかったんですか。」
二人は無言のまま下を向いていた。
「しおりさん、直樹と別れて下さい。そして金輪際、直樹に近づかないでください。」
「待って下さい、お母さん。オレたちはうまくやっていたんだから、そんなこと、お母さんに言われる筋合いありませんよ。」
「何を言っているんですか。こんな写真が送られて来たということは、あなたたちのことを知っている人がいる、ということですよ。もしもこの写真が表に出たら、あなたのお父様や、あなたの名がどれほど傷つくか、わかって言っているのですか?」
「お母さん、あなたが気にしているのは評判だけですか、オレやしおりの気持ちはどうでもいいんですか。」
「直樹、あなたはまだそんなことを言っているのですか?あなたは佐々倉大蔵の息子ですよ、自分の我が儘が通る立場ではないことはわかっているはずです。」
だから偽装結婚したんじゃない……、と、思わず口に出しそうになったが、佐々倉のお義母さんの迫力にとてもじゃないが口をはさむことはできそうもなかった。