めぐり逢えたのに
何だろう?

いきなり茶色い封筒を渡されて、私は戸惑った。

職場について早速封筒の中を改めたら、それは、離婚届だった。佐々倉の欄はすでに記入済みだ……。

多分、私はたっぷり五分ほどは放心状態でその離婚届を見つめていたと思う。

「どうしたの? ぼーっとして。」

後ろを振り向くと友美がコーヒーを手にしてにこっと笑っていた。

「来週からの『東京ピーキング』展、大丈夫?」

私は、手元にあった何枚かの紙を整えながら友美に差し出す。仕上がってきた綺麗なパンフレットも見せた。

「大丈夫よ。実は結構感触いいの。何人かの人からはなかなかいいんじゃない、ってお褒めの言葉ももらったわよ。それで、私、考えたんだけど、ちょっとした雑貨も置かない?」

「雑貨って?」
「スカイツリーとか東京タワーの飾りものとか、下町のミニチュアハウスとか。ミュージーアムショップみたいな感じで。」
「来週よ〜、間に合う?」
「無理かな。置きたいもののリストはもう作ってあるんだけど。」
「じゃ、ダメもとで片っ端らから連絡とってみようか。一度実験的に置いてみるのもいいかもね。」
「了解」



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