めぐり逢えたのに
それでも、彼と二人で電車にのってビーチに行くなんて楽しみで仕方なかった。
彼は、私がお金を出すのを嫌がるから、私たちはいつも一番安いものしか買わなかったけど、このイベントは私にとってはすごくすごく特別だから、私は、特急券を買っておいた。私は、どうしても隣同士一緒にならんで座っておやつを食べながら海に行きたかったのだ。

「あのね、今日は特別だから特急券、買っちゃった。だって、こんなに遠くに一緒に行くことなんてないから……、あの、え……と、一緒に乗ってくれる?」

ムッとするかな、とちょっとハラハラしながら聞くと、彼は、私を安心させるように優しく微笑んだ。

「ありがとう。じゃあ、楽しい一日にしなくちゃね。」

きっと、私がすごく楽しみにしてたのを知っていたんだと思う。それから、電車の中で、お弁当を食べて、トランプをしながら海に行った。
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