めぐり逢えたのに
それでも、私は、何とかロマンチックな(そして恋人らしい)クリスマスにしたい、と、懲りずに考えていた。
二人でデートらしいデートをしたのは、夏休みに海に行ったのが最後で、気がつけばもうすぐそこまでクリスマスがせまってきていて、私は焦っていた。

「クリスマスイブは一緒にいてもいい?」
「ダメ。君のパパに刺される。」

間髪入れずにダメ出しされたけど、もう、ずっとこんな風に断られているので、私はそんなことじゃめげない。

「だからね、私、パパに小野寺さんを紹介しようと思うの。」
「いや、カレシでも、一晩一緒にいるのは許してくれないと思うよ、君のパパは。」

予想通りの答えだった。

「うん、だからね、婚約者っていうの。」
「婚約者?!」

あんまりびっくりしたり慌てたりしない彼が、思わず持っていたエクレアを落としたから、かなり驚いたんだと思う。ちゃぶ台の上にカスタードクリームがぐちゃっと広がった。
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