めぐり逢えたのに
私たちは近くのコンビニでたくさんの食べ物を買って来た。小さなちゃぶ台に載せきれないほどたくさんあった。

からあげをお寿司のつもりで食べたり、おにぎりをステーキのつもりで食べたり、焼き肉屋に行ったつもりでポテトチップスを食べたり、とにかくテーブルの上にはたくさんのごちそうがならんだ。もう、私たちはずっと笑いっぱなしだった。

彼はきっと最後に楽しい思い出でいっぱいにしたかったんだと思う。

そのうちに彼が私を抱き寄せて来た。私は次はどうなるんだろう、って期待と不安で一杯だった。彼は私の顔を覗き込むとまた笑った。

「緊張してるね。」
「だって……、こんなの初めてだもん、やっぱり緊張するよ。」
「やめとく?」

私は首をブンブンと横にふった。

「良かった。じゃ、遠慮なく。」
< 57 / 270 >

この作品をシェア

pagetop