めぐり逢えたのに
「本当に大丈夫?」

彼は何度も確認してきた。

私は、彼がすごく欲しかったし、受け入れたいって思って、それは本心だったけど、でも、やっぱり少し躊躇ってる自分がいた。いろいろなことが頭をよぎって、黙って出て来たこととか思い出して、パパとかママの顔が浮かんで来て、なんか涙が出て来た。

「オレは、今晩は君のパパに逆らうよ。」

彼も、私の後ろめたさを知っているのだ。

「万里花も一晩パパのこと忘れて。」

私は涙を流しながらこくんと頷いた。彼は、私が泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。

しばらく涙を流したら、私はなんだかすっきりした気持ちになった。やっぱり彼はすぐに気がついて、

「気がすんだ?」

って聞くから、今度は、私は、「うん」って声に出して答えた。彼はにっこり笑うと、

「じゃ、仕切り直しだ。」

って言いながら、私の耳元に熱い吐息をそっと吹きかけた。

それから、彼が私の体にキスをするたびに、私の体は熱くなっていった。彼が私の中に入ってきたとき、私は溶けてしまうのではないかと思った。とても気持ちが良かった。
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