めぐり逢えたのに
私が夢の世界から現実に戻って来たのは、電車に乗った瞬間である。

両親に何て言ったらいいか見当もつかなかった。

先にテキストを送っておくべきか、それとも、いきなり帰った方がいいのか、色々考えた末に、私は友美に連絡をした。私の両親から何も連絡が来てないのを確認すると、私は、友美のうちにいた、とみえすいたうそをつくことに決めて、母にテキストを送った。

折り返し、私が無事かどうか訊き、急いで家に帰って来るように、という返信がきた。
私は、帰り道の間中、どんな判決が出るんだろう、と恐れていた。でも、例え一生家から出られなかったとしても、この一晩のことは後悔しないだろう、って思えた。

最高の一晩だったから。
< 61 / 270 >

この作品をシェア

pagetop