めぐり逢えたのに
家に戻ると、既に父と母が帰って来ていた。
私がただいま、と言う前に、父が開口一番言った事は、どうだった、でも、直樹君を気に入ったか、でもなく
「式は来年の5月23日だから。」
だった。
「冗談でしょ。パパ、私、あんな人とは結婚しないわよ。」
「じゃあ誰と結婚するんだ?」
「そんな、まだ決められないけど、彼とは結婚しない。」
「おまえは私がいろいろな人に会わせたけど、誰にも興味を持たなかっただろう。誰にしても同じ事だよ。だから直樹くんに決めろ。」
「何を言ってるの、パパ。私の結婚相手よ?」
「よーくわかってるよ。戸川の娘婿を決めてるっていうことは。」
「………」
「私は、万里花が思っている以上に万里花のことを理解している。直樹くんとはうまくやっていけると信じている。断ったら次を探すのはもっと難しくなるし、直樹くんよりも確実にレベルが落ちるぞ。」
「レベル、ってなんのレベルよ。」
「全てだ。万里花との相性も含めて。直樹君は結婚後に戸川に来る事にも異存はないって言ってくれてるし。」
私がただいま、と言う前に、父が開口一番言った事は、どうだった、でも、直樹君を気に入ったか、でもなく
「式は来年の5月23日だから。」
だった。
「冗談でしょ。パパ、私、あんな人とは結婚しないわよ。」
「じゃあ誰と結婚するんだ?」
「そんな、まだ決められないけど、彼とは結婚しない。」
「おまえは私がいろいろな人に会わせたけど、誰にも興味を持たなかっただろう。誰にしても同じ事だよ。だから直樹くんに決めろ。」
「何を言ってるの、パパ。私の結婚相手よ?」
「よーくわかってるよ。戸川の娘婿を決めてるっていうことは。」
「………」
「私は、万里花が思っている以上に万里花のことを理解している。直樹くんとはうまくやっていけると信じている。断ったら次を探すのはもっと難しくなるし、直樹くんよりも確実にレベルが落ちるぞ。」
「レベル、ってなんのレベルよ。」
「全てだ。万里花との相性も含めて。直樹君は結婚後に戸川に来る事にも異存はないって言ってくれてるし。」