きみと、春が降るこの場所で
動かない体、重くゆっくりと拍動する心臓、血の巡りが浅くなった指先とつま先。
こんなにも生きる事をやめようとしているわたしなのに、まだ叫んでいる。
好きだって、ありがとうって、朔が幸せでありますようにって。
朔に見える場所で、明後日も生きていると言ったのに、ごめんね。
嘘になってしまったね。今日という日が来る事を知っていたのに、嘘をついてしまってごめんなさい。
けれど、あの日の嘘は、本当だったの。
生きていたかった。生きていられると、信じていたかった。
桜を見に、連れていってくれてありがとう。
あの後の熱は、朔のせいじゃないから、気にしないで。
あんまり謝られると、わたしが悪いような気がしてしまうんだよ。
嬉しかったから、わたしは満足です。
今もこうして、細く長く息をして、朔を最後の一瞬まで見つめていられる事が、嬉しいよ。
幸せでした。今も幸せで、これからもずっと。