小夜啼鳥が愛を詠う
「えー!やだよ!眠いよ。薫だけ、早く出てよ。」
光くんは、全身で反対した。
けど、薫くんはむしろ不思議そうに言った。
「何で?朝早いん、気持ちいいやん。桜子は学校で受験勉強しとったらええやん。光は……ほな、寝といたら?」
……簡単に言ってくれちゃうなあ。
ついつい苦笑が漏れた。
まあでも、近いとは言っても、中学と高校は別の区画にあるし、見えるわけでもない。
毎日逢おうと思ったら、多少の無理は必要なのかもしれない。
「わかった。朝練タイムに付き合う。でも、放課後は、待たない。パパのお店にいるから、部活が終わったら寄って。……光くんも、そのほうがいいでしょ?」
自ら監視付きの檻の中に入ることになるけど、私、受験生だし、それでいいか。
……受験勉強しない光くんは、たぶん空手の日以外はパパのお店を手伝うだろうし。
光くんはため息をついて、苦笑してうなずいた。
「折衷案だね。了解。仕方ない。朝のさっちゃんの勉強に、つきあうよ。」
「え!?それ、めっちゃうれしいっ!ありがとう~~~!」
光くんの頭の中がどうなってるのかよくわからないけど、どんな参考書よりも、教師よりも、確実に理解できる教え方をしてくれるのだ。
これで、受験に勝ったも同然……かもしれない。
はしゃぐ私に薫くんはくしゃっと顔をゆがめた。
「しゃーねーな。ほな、それで。」
そして、私の手を取った。
……あ……やっぱり、これからも、手はつなぐんだ。
多少……いや、かなり照れくさいんだけど……。
「じゃあ早速今日から。……どうせ、薫、部活に参加する気でしょ?」
そう言いつつ、光くんも私の鞄を取り上げて、空いた手をつないだ。
……こっちも……。
「そのつもりや。昼飯も持ってきた。」
薫くんはそう言って、つないだ手をぶんぶん振った。
負けじと光くんも、手を振るもんだから、私たちは子供のようにはしゃぎ笑った。
楽しい気分に水をさしたのは、冷ややかな声。
「捕獲された宇宙人みたい。」
真新しい、少し大きなセーラー服を着たみゆちゃんは、憎まれ口を叩いても、かわいらしかった。
宇宙人って……私のこと?
……嫌われたもんだなあ。
光くんは、全身で反対した。
けど、薫くんはむしろ不思議そうに言った。
「何で?朝早いん、気持ちいいやん。桜子は学校で受験勉強しとったらええやん。光は……ほな、寝といたら?」
……簡単に言ってくれちゃうなあ。
ついつい苦笑が漏れた。
まあでも、近いとは言っても、中学と高校は別の区画にあるし、見えるわけでもない。
毎日逢おうと思ったら、多少の無理は必要なのかもしれない。
「わかった。朝練タイムに付き合う。でも、放課後は、待たない。パパのお店にいるから、部活が終わったら寄って。……光くんも、そのほうがいいでしょ?」
自ら監視付きの檻の中に入ることになるけど、私、受験生だし、それでいいか。
……受験勉強しない光くんは、たぶん空手の日以外はパパのお店を手伝うだろうし。
光くんはため息をついて、苦笑してうなずいた。
「折衷案だね。了解。仕方ない。朝のさっちゃんの勉強に、つきあうよ。」
「え!?それ、めっちゃうれしいっ!ありがとう~~~!」
光くんの頭の中がどうなってるのかよくわからないけど、どんな参考書よりも、教師よりも、確実に理解できる教え方をしてくれるのだ。
これで、受験に勝ったも同然……かもしれない。
はしゃぐ私に薫くんはくしゃっと顔をゆがめた。
「しゃーねーな。ほな、それで。」
そして、私の手を取った。
……あ……やっぱり、これからも、手はつなぐんだ。
多少……いや、かなり照れくさいんだけど……。
「じゃあ早速今日から。……どうせ、薫、部活に参加する気でしょ?」
そう言いつつ、光くんも私の鞄を取り上げて、空いた手をつないだ。
……こっちも……。
「そのつもりや。昼飯も持ってきた。」
薫くんはそう言って、つないだ手をぶんぶん振った。
負けじと光くんも、手を振るもんだから、私たちは子供のようにはしゃぎ笑った。
楽しい気分に水をさしたのは、冷ややかな声。
「捕獲された宇宙人みたい。」
真新しい、少し大きなセーラー服を着たみゆちゃんは、憎まれ口を叩いても、かわいらしかった。
宇宙人って……私のこと?
……嫌われたもんだなあ。