【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
リビングを覗いたけど、そこに雪ちゃんの姿は無かった。

「……と言う事は、まだ部屋か」

雪ちゃんの部屋の前に立ち、深呼吸をしてノックした。

「雪ちゃん?起きてますか?私、ちょっと出掛けて来ますね?」

そう声をかけると、ガタガタガタッ!と大きい音がして勢い良くドア開く。

「わっ!?」

反射で避けたけど、ギリギリぶつかりそうになった。

「ど、どこに行くのっ!?」

雪ちゃんの凄い勢いに、私はちょっとのけ反る。

「あ、あの……明日仕事なんで、必要な物を取りにウチに行ってきます」

「え……ああ、そう。ちょっと待って、すぐに用意するから」

そう言って部屋に戻ろうとするので、私は、

「あ…いえ、一人で大丈夫ですよ」

と、何にも考えないで、ポロッと口にしてしまった。その瞬間、雪ちゃんの綺麗なお顔が、般若(はんにゃ)(ごと)く険しくなる。

「それじゃ危ないでしょ!何の為にアタシが居るのよ!?一人で居て、今度は襲われでもしたらどうするの!!」

もの凄い剣幕で捲し立てられ、私は唖然としてしまう。そんな私を見て、雪ちゃんはハッとし、コホンと一つ咳払いをした。

「……とにかく、一人は危険よ。直ぐ用意するからリビングで待ってて」

「……はい」

パタン……とドアが閉められる。

(お、怒られた)

……でも、そうだよね。昨夜のインパクトで、自分が危険な状況に置かれている事を失念していた。ついこないだも、考え無しに行動するな、と注意されたばかりなのに。

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