【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
そりゃそうだ。昨日までなんの接点もなかった私達が急接近しているんだから。

段々喧騒を取り戻したオフィスから、私達の動向を横目でチラチラ気にしている女子社員が数名。

直視したら殺されるんじゃないだろうか、と言う殺気まで感じ取れる。

(怖っ……)

私はなるべくそちらを見ない様に務めた。

しかし、津田部長はそんな事には興味なさげに、「じゃ、お昼行こうか」と言って私の手を取り、恋人繋ぎをして来た。

「え、あの、手!」

「ん?ああ、嫌か?」

「い、嫌じゃないですけど……」

こんな事したら、さっき以上の殺気が……。

「だったらこのままで良いだろう?」

パチンっ☆と津田部長の悩殺ウィンクが飛び出し、私含め数名の女子社員のハートを撃ち抜く。

その証拠に「はぅっ!」と言う声が色んな所から聞こえた。

「さ、早く行こう」

津田部長に腕を引かれ、私たちはそのままオフィスを出る。


――数秒後、後ろから「いやーっ!」と言う女子達の叫び声が、地響きの様に鳴り響いた。

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