【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
相変わらず雪ちゃんは不貞腐れながらテレビを見ている。いや、チャンネルをザッピングしているから、正確には見てないと思う。

私は雪ちゃんからリモコンを取り上げて、テレビの電源を切った。

「ゆ・き・ちゃん?」

私は眉間にシワを寄せ、めっ!と言う表情を作った。

「……だって、折角両想いになって二人きりで過ごせる最初の夜だったのに……」

頬を膨らませ、プイッ!とそっぽを向く。

「だからって、あの態度はないでしょう?ハナちゃん凄く心配していたし、もの凄く楽しみにしてたんだから。今度会った時、ちゃんと謝らないと駄目だよ?」

私は、小さい子に言い聞かせる様に言った。

「……分かった。ごめんなさい」

唇を尖らせながら、小さく頷く。これ、雪ちゃんのクセ。

「よしっ!じゃ、パーティーの続きしよっか!」

雪ちゃんの手を引っ張り、席に着かせ、グラスを持たせる。

「はい!改めて、退院&お誕生日おめでとう!」

「ありがとう」

チンッ♪と、涼しい音がグラスから響く。

「雪ちゃんの好きな物ばーっかりだからね!どんどん食べて!」

テーブルには、ズラッと雪ちゃんの好物ばかりが並べられている。ハンバーグ・エビグラタン・ポテトサラダ・タマゴサンド・チーズケーキ、などなど。

「どうしてアタシの好きな物が分かったの?特に聞かれた事、ないと思うけど……」

「あ、それはハナちゃんに……」

と言って、あっ……と思った。

「ハナ?」

雪ちゃんが小首を傾げる。

(ま、良いか。もう過ぎた事だし)

私はサプライズパーティーを計画していた事、全部を話した。
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