【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
少し頭の中で葛藤はあったけど、もう無礼講だ!と、本日二度目のやけくそで、徹底して「雪ちゃん」と呼んでやる!と意気込む。

「では、あの…雪、ちゃ…ん……?」

「なぁに?」

ぎこちない呼び方に、津田部長……雪ちゃんが、クスクス笑いながら返事をする。

「何処へ連れて行ってくれるんですか?」

「ちょっと遠いんだけど、県境の所に水族館が出来たじゃない?あそこに行きたかったんだけど、良いかしら?」

「はい!水族館、大好きですっ」

「良かった。ずっと行ってみたかったんだけど、一人で行ってもつまらないものね。一緒に行ってくれる人がいて嬉しいわ」

雪ちゃんの言葉を聞いて、そう言えば…とずっと気になってた事があるのを思い出した。

「あの、失礼を承知で、聞いても良いですか?」

「なぁに?」

「雪ちゃんはその……彼氏さんとか、いないんです…か……?」

ドキドキしながら返答を待つ。

「ん~……いた事はいたんだけどね。別れちゃったわ」

「え……」

や、やっぱり居た事は居たんた……。

でも、どうして別れちゃったんだろう。

「あの、失礼な事聞いてごめんなさい」

「いいのよ。よくある事だから」

あっけらかんと雪ちゃんは言った。

「そう、なんですか?」

「ええ、女の方が良くなる男なんてしょっちゅうよ」

フンッと鼻で笑う。

「結局、男同士なんてなんにも残らないのよ。最初はそれでも良いって言ってくれるんだけど、怖じ気付くのかしらね……」

「そんなの酷い……」

その話を聞いて、若干の怒りが込み上げてくる。
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