【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
津田部長は観念した様に、大きな溜め息を吐きながら両手を上げて降参のポーズを取った。
「なんで分かったの」
「最初は、全然分からなかったです。なんか覚えのある顔だな、って位で。でも、津田部長が顔をそむけた時に……」
津田部長はハッとし、耳元に手をあてた。どうやら、私の言っている事を瞬時に理解した様だった。
「……痣ね」
「はい。その痣、社内で知らない人はいませんから」
津田部長の耳の後ろには、星形の痣がある。これは、同じ会社に勤めている者なら誰でも知っている事だった。
女子社員の間では『ラッキースター』などとも呼ばれている、なんとも珍しい痣。
「ぬかったわ……いつもならファンデーションで隠すのに、今日に限って忘れるなんて……」
津田部長は脱力した様に街灯にもたれ掛かり頭を抱え、そのまま動かなくなってしまった。
こっちも驚きを隠せないが、津田部長の落ち込み様を見ていたら私なんかがこんなヒミツを知ってしまって、申し訳なくなってくる。
「あの……」
「あなた、秘書課の美園江奈さんよね?」
津田部長の意外な言葉に、私は目を丸くする。私の事を知っていてくれた。
「……私の事、ご存知ですか」
「ええ。秘書課は会社の華ですもの。その中でも美園さんは有名よ。美人で仕事が出来るって」
え、なにそれ。
「そんなデタラメ、信じないで下さい」
私はキッパリ否定する。
「あら。仕事が出来るって点は分からないけど、美人って言うのは本当じゃない」
「そんな……」
「せっかく褒めてあげてるんだから、素直に受け取りなさいよ」
「……ありがとうございます」
じゃあ……と、私は深くお辞儀をする。
「……………」
「……………」
沈黙。
ど、どうしよう……。改めて考えてみたら、私、物凄い重大な秘密を知ってしまったよね?
「なんで分かったの」
「最初は、全然分からなかったです。なんか覚えのある顔だな、って位で。でも、津田部長が顔をそむけた時に……」
津田部長はハッとし、耳元に手をあてた。どうやら、私の言っている事を瞬時に理解した様だった。
「……痣ね」
「はい。その痣、社内で知らない人はいませんから」
津田部長の耳の後ろには、星形の痣がある。これは、同じ会社に勤めている者なら誰でも知っている事だった。
女子社員の間では『ラッキースター』などとも呼ばれている、なんとも珍しい痣。
「ぬかったわ……いつもならファンデーションで隠すのに、今日に限って忘れるなんて……」
津田部長は脱力した様に街灯にもたれ掛かり頭を抱え、そのまま動かなくなってしまった。
こっちも驚きを隠せないが、津田部長の落ち込み様を見ていたら私なんかがこんなヒミツを知ってしまって、申し訳なくなってくる。
「あの……」
「あなた、秘書課の美園江奈さんよね?」
津田部長の意外な言葉に、私は目を丸くする。私の事を知っていてくれた。
「……私の事、ご存知ですか」
「ええ。秘書課は会社の華ですもの。その中でも美園さんは有名よ。美人で仕事が出来るって」
え、なにそれ。
「そんなデタラメ、信じないで下さい」
私はキッパリ否定する。
「あら。仕事が出来るって点は分からないけど、美人って言うのは本当じゃない」
「そんな……」
「せっかく褒めてあげてるんだから、素直に受け取りなさいよ」
「……ありがとうございます」
じゃあ……と、私は深くお辞儀をする。
「……………」
「……………」
沈黙。
ど、どうしよう……。改めて考えてみたら、私、物凄い重大な秘密を知ってしまったよね?