【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
「何を作りましょうか?」

そう言えば、雪ちゃんって何が好きなんだろう。

「何でも良いわ」

「好き嫌いって無いんですか?」

「う~ん……特に無いわね」

「それは素晴らしいですね」

「そう?」

「はい。作る側にしたら、好き嫌いがないと何でも作れるのでとてもありがたいです」

あれが嫌い、これが嫌い、を言われると、作れる物も限られて来る。好き嫌いが無いのは、いい事だ。

「じゃあ、ハンバーグ作りましょうか。『雪ちゃんスペシャル』にも入ってましたし」

ハナちゃんのお店に初めて行った時にランチで出してもらった、『雪ちゃんスペシャル』。あれは、ハンバーグ・ナポリタン・エビグラタン・サラダのプレートだった。

「ハナちゃん程美味しくは作れませんが……」

「アタシは、ハナにも負けていないと思うけどね」

「そ、そうですか?ありがとうございます」

私は照れながら鼻の頭をポリポリと掻く。お世辞でも嬉しい。

「さ、着いたわよ」

入り口近くの駐車場が空いていたので、そこに車を停める。休日なだけあって、結構込み合っていた。

「わぁっ!」

色とりどりの野菜や果物、鮮魚、鮮肉達に、目が輝く。

「さて!お買い物開始しますか!」

鼻息荒く、隣でカートを押している雪ちゃんに言った。

「ええ。少し買い溜めしておきましょうか。会社帰りに寄れるとは限らないし」

「はい!じゃあ献立を考えながら買いましょうか」

「オーケー」

私達は、あーでもない、こーでもないと騒ぎなから、約一週間分の買い物をして帰宅した。
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