【改訂版】ワケあり上司とヒミツの共有
朝。ぼ～っとする頭で起き上がる。

「……ねむ」

結局、一睡も出来なかった。

怠(だる)い体を無理やり起こし、顔でも洗ってサッパリしようとタオルを持って部屋を出る。

洗面所のドアを開けると、雪ちゃんがもう顔を洗いに来ていて、ドキッ！と心臓が大きく跳ねた。

（うわっ！こ、心の準備がっ！）

まだ早いから起きてないと思った。

｢おはよ～……｣

まだお酒が残っているのか、雪ちゃんが顔をしかめながら顔を拭いていたタオルを洗濯機に放り入れる。

｢おはようございま、す……｣

私は、ぎこちないけどなるべく自然に振る舞い、洗面台の前に立ってお湯ではなく、お水を出してパシャパシャと顔を濡らした。

なんとなく横から視線を感じていたけど、そこは気付いていないフリをする。

｢……江奈。昨夜の事なんだけどさ｣

急に確信を突く話を振られて、ビクッ！と体が震えた。

「はい……」

キュッと水を止め、ゆっくりと雪ちゃんに向き合った。私の顔から、ポタポタと水か流れ落ちる。

なんて言われるんだろう？

私は身構えた。

……しかし、雪ちゃんの口から出た言葉は、凄く拍子抜けする言葉だった。
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