初恋を君に


自分の部屋に帰ってきて、
何だかほっとした。

そんなに家を空けてはいないのに
凄く久しぶりな気がするのは一昨日から色々あり過ぎたからかもしれない。

鞄をソファに置きながら
テレビの横にある写真が目に入った。

一昨日別れた彼との写真だ。
写真立ても元カレからのプレゼントだった。付き合って1年記念のプレゼントとして貰い1年ごとに写真を入れ替えようと約束した。

その約束は果たされなかった。

彼氏と別れた時は貰ったもの、思い出の品の処分、そして部屋の模様替えが私のリセットの仕方だ。

さて。
今日から3連休。
リセットには時間は充分。

「土曜日の午前中はゆっくりし過ぎたけど…」

とりあえずお風呂に入ろう。
湯船に浸かってスッキリしよう。

お湯が溜まるまで少しでも片付けを進めることにする。

写真立てから写真をぬく。
二人とも楽しそうな笑顔だ。
このピアスもネックレスもプレゼント。
彼は私に似合う物を見つけるとすぐにプレゼントしてくれた。
高い物ではなくても私を思って選んでくれた品々が嬉しかった。
でもそのすべてをこれから処分する。
楽しかった思い出は全て辛く悲しいものに変わってしまった。

「文。ごめん。好きな子ができたんだ。君にこれ以上嘘が付けないよ。文のせいじゃない。俺が悪いんだ。」

彼の声が響く。
悪いと思うなら、好きな子を諦めてよ。
私に別れ話なんかしないでよ。

気づいたら涙がこぼれていた。
泣くなんて悔しい。
でも涙が止まらない。

持っていた写真に涙がポタポタと落ちた。

バスルームから音楽が聞こえる。
もうすぐお湯が溜まるのだ。

もう泣くのはこれきり!!
思い切って写真を破く。
そうだ。リセットしよう。


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