虹架ける僕ら
中学3年、3月半ばの暖かい日。

桜の花までとはいかないが、梅の花が満開に咲き誇る、そんな日。

私たちの住む町は、まだ梅の花も咲いていないけれど、ここではもう咲いている。

そして今日は、高校の合格発表の日。私は、受験した高校の昇降口の前に立っていた。

張り出されていく合格者の番号が書かれた紙をぼーっと眺める。

周りでは、顔も見たことのないような人たちが一喜一憂し、両親らしき人たちと学校の門の外へと出

ていく。

(私の番号はー)

何度も、何度も繰り返し確認する。しかし、私の番号は無かった。

346番、星野 咲舞。どこにも無い。

(…落ちた、)

私の受けた高校は、私立の超難関校だった。

受けたきっかけは、祖母に受けろと言われたから。それだけ。

家は町で1番大きな病院で、小中学校は私立に通い、勉強に関しては誰にも負けたことは無かった。

だから、受かると思っていた。誰にも、負けないと思っていた。

それなのに私は、受験当日に高熱を出し、歩くのもままならないまま、受験を受けた。その結果がこ

のザマだ。

今までが何だったんだろうって、今までの努力が音を立てて崩れ去っていく。

春の暖かい風が、頬をかすめて、肩の辺りで切り揃えた髪を揺らす。

私は怒るとも、なくともせず、1人きりで学校の門の外へと、鉛をつけられたように重い足を引きずる

ようにして歩いて行った。

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