名探偵と女子高生




「変に恩に感じることねぇからな?今井さんの件について。」



部屋に入ると、結城さんはそう言って私にお茶を出してくれる。



「そういうことじゃないです。私はただ、結城さんに感謝したくて…」



いや。違う。そうじゃない。確かに感謝はしてるんだけど、それだけじゃない。

結城さんは多分、正直に言わなきゃ納得してくれない。



嘘なんて、すぐバレるんだから。



「私は、自分のためにそう言ってるんです。結城さんと少しでも一緒にいたいし、忘れないで欲しいんです。」



すると結城さんは鼻で笑った。




「我儘だな。」



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