名探偵と女子高生
「部活は何だ?」
「あ、はい。吹奏楽部です。クラリネットを吹いてるんです。」
「そうなのか。部活では辛いこととかないのか?吹奏楽部って体育会系文化部らしいじゃないか。」
よくご存知ですね。
そう言ってから少し考える。
「確かに苦しい時もキツイ時もありますが楽器が大好きなので辛いとかは感じません。ただ…」
私がそう言いかけると結城さんは怪訝な顔をした。
「どうした。早く話せ。」
「いえ、両親共働きなので本番私のために見に来てくれる人はいつもいないんですよね。…贅沢な悩みですけど。」
「次の演奏会はいつだ?」
私はカバンから手帳を取り出す。
「来週の日曜日です。」
「…その日は多分開いてる。」
結城さんはそう言って私から目を背けた。
「…へ?どういうことですか?」
「だから、行ってやってもいいって言ってるんだ。」