僕たちは呼吸をやめた。
それでも
午前0時を過ぎた頃、狭いベッドの上で彼女は静かに肩を震わせる。そんな小さな背中を、僕は見ていることができず、ひとり煙草に火をつけた。
解らない苛立ちが生まれてきては、舌打ちが零れた。そうすれば、彼女はまた声を押し殺すように泣くのだ。
「泣かないでよ」
それは、嫌に部屋に響いた気がした。
「...ごめんなさい」
そう言って、彼女は必死に頬を拭う。それは強くて、柔い彼女の肌が、傷付いてしまうんじゃないかと思って。無意識に伸ばした手で、彼女の手首を掴んで、そっと顔から引き離した。
泣いて腫れた大きな瞳も、擦りすぎて紅くなった頬も、強く噛み締めた唇も、それでも、彼女はすべてが綺麗だった。
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