僕たちは呼吸をやめた。
「...好きよ」
そう、また涙を溢して囁く君に、涙を拭うことも愛のひとつも云えない僕を、どうか赦さないでほしい。
どこかで、本当は気付いているのに。それでも、それから目を背け続ける僕を。嫌いだと、最低だと、そうして声を出して、泣き叫んでくれたらいい。
僕の知らない夜に、静かに肩を震わせるなんて、そんなことしないで。いつかの夜に笑ってほしい。
何も言葉を紡げない僕は、そっと君に口付ける。
そうして僕等は、呼吸をやめた。
*end*