アイドル的LOVE


長い長い入学式が終わり、俺は教室へと向かった。

黒板に貼られた座席表を見て、自分の席につく。

窓側の前から2番目。どうせならもう少し後ろがよかったけれど、悪い席じゃない。


春風が良い感じに俺の横を通り抜ける。

ふんわりと暖かい春の香が漂う。




「お隣さん、お隣さん」




隣の席に座ったヤツが話し掛けてくる。

少々長めの髪を、ワックスで上手く整えている。
子供っぽい顔つきは、女子に言わせてみると“かっこいい”よりも“かわいい”部類に入るだろう。




「俺、古賀拓人。お隣さんは?」




古賀拓人か…良さそうなヤツだな
瞬間的に俺はそう感じた。




「池谷健介。好きに呼んでくれ」

「ふーん…じゃあ、けんちゃんで。俺はタクトでいいから」




タクトは笑っていたが、俺は思わず目を丸くした。

きょとんとした顔でタクトがたずねる。




「何?嫌だった??」

「嫌ではないけど……ただ幼なじみにもそう呼ばれてるから…なんとなくびっくりしただけだ」

「幼なじみ?この高校なわけ??」

「ああ、」



そのうえ同じクラス…と言おうとしたときだった。


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