アイドル的LOVE
3
長い長い入学式が終わり、俺は教室へと向かった。
黒板に貼られた座席表を見て、自分の席につく。
窓側の前から2番目。どうせならもう少し後ろがよかったけれど、悪い席じゃない。
春風が良い感じに俺の横を通り抜ける。
ふんわりと暖かい春の香が漂う。
「お隣さん、お隣さん」
隣の席に座ったヤツが話し掛けてくる。
少々長めの髪を、ワックスで上手く整えている。
子供っぽい顔つきは、女子に言わせてみると“かっこいい”よりも“かわいい”部類に入るだろう。
「俺、古賀拓人。お隣さんは?」
古賀拓人か…良さそうなヤツだな
瞬間的に俺はそう感じた。
「池谷健介。好きに呼んでくれ」
「ふーん…じゃあ、けんちゃんで。俺はタクトでいいから」
タクトは笑っていたが、俺は思わず目を丸くした。
きょとんとした顔でタクトがたずねる。
「何?嫌だった??」
「嫌ではないけど……ただ幼なじみにもそう呼ばれてるから…なんとなくびっくりしただけだ」
「幼なじみ?この高校なわけ??」
「ああ、」
そのうえ同じクラス…と言おうとしたときだった。