アイドル的LOVE
アイスを食べながら話していると、スーツ姿の男の人が近づいて来た。
「悪いな、遅くなった。…ってお前、そんな格好で」
男の人はため息をついた。
大武先輩は笑いながら謝った。
「すいません、ちょっと油断してました。でもこの子の演技力に助けられたんで」
そういうと先輩は私の頭をぽんっと叩いた。
男の人は目を丸くして私をみた。
「神崎紗矢ちゃん。とそのお友達で、木野雪奈ちゃんに、池谷健介くんと古賀拓人くん。こっちは俺のマネージャーで水無月さん」
私たちは軽く頭を下げた。
水無月も同じように頭を下げた。
「さやちゃんだっけ?ありがとう。こいつはよく油断して大変なことになるんだよ…」
「いえ、私は別に…」
「そんなことないって!ありがとな!!じゃ、俺仕事だから」
先輩が手を振って席を離れていく。
「さよなら!!」
私の声に振り返ると、軽く手を振ってくれた。
不思議と嬉しくなる。
それから私たちは、先輩のおごりのアイスをきれいに食べ終えた。