アイドル的LOVE
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家に帰ると、お父さんが夕食を作っていた。
「お帰り、サヤ。どうだった?入学式は」
フライパンでハンバーグを焼きながら、お父さんが訪ねてきた。
うちはもっぱらお父さんが家事を担当している。
公務員であるお父さんの方がお母さんより帰りが早い、っていうのもあるけど、お母さんは料理が苦手なのだ。
別に食べれないことはないけどできれば食べたくない味だ。
「楽しかったよ。帰りにけんちゃんとかとアイス食べてきた♪」
「へぇ…健介くんとかってことは友達ができたんだね」
「うん♪ユキナって子。あと、今日はけんちゃんと仲良くなった古賀くんも一緒だった」
「そっか。友達が増えるのは良いことだ」
ハンバーグの良い匂いがキッチンに広がる。
「あ、そうそう!あとね、大武雄一っていう若手俳優さんがうちの学校なんだけど、いろいろあってアイスご馳走になった」
「大武雄一??」
お父さんはキョトンとした顔をしていた。
お父さんのことだから、最近の芸能人は知らないんだろうな…
「最近若い子に人気のある人」
「わっかんないなぁ…」