アイドル的LOVE
しばらくしてから、水無月さんが席を立った。
「じゃあ、今度の土曜、事務所に来てくれ。説明のあと、早速仕事だ」
「はい、わかりました」
水無月さんたちを見送るために席を立つ。
玄関を出て、お辞儀をしたとこで、大武先輩が振り返った。
「言っとくけど…楽じゃないからな」
「そうでしょうね。でも…」
大武先輩の顔を見る。
「私は私らしくやるだけです」
大武先輩は笑うと私に紙を渡した。
キョトンとした私に、大武先輩が笑いかける。
「俺のメアドとケー番。お前のも後でメールで教えて」
「えっ、はい…わぁ…ありがとうございます」
「何がわぁ…なの?」
「いや、先輩の、芸能人の連絡先だ…って」
「お前もだろうが!」
再び先輩が笑う。
「あと、先輩なんか言わなくて良いから」
「へっ?」
「雄一で…いい」
一瞬先輩の顔が赤くなった気がした。
気のせいか。赤くなる理由がないや。