アイドル的LOVE
俺は開いた口がふさがらなかった。
今、サヤ、言ったよな?
―――私ね、芸能人になる!!
ちょっと待て。
あまりにもいきなりだろ。
だんだん頭がこんがらがってきた。
確かに昔からサヤは芸能界に憧れを抱いていた。
だからっていきなりすぎないか?
だって、さっきまでサヤは俺の隣で笑ってて…
「さっきね、水無月さんと雄一君をお母さんが連れてきて、そこで芸能界に入らないかって言われたの」
水無月…大武雄一のマネージャーか。
てか、雄一君ってなんだよ!!
「そうか…」
「…けんちゃん」
「ん?」
「ありがとう」
サヤの口からはあまりにも予想外な言葉が飛び出した。
「やっぱり、あんまり突然だったから、一瞬迷ったの。でも…」
サヤが俺を真っすぐと見据えた。
俺もサヤを見る。
いつからだろうか?
サヤとこんなふうにベランダで話すようになったのは。
どうでもいいことが頭に浮かぶ。
目の前には曇りない瞳で俺を見つめるサヤ。