アイドル的LOVE
「けんちゃんが朝から言ってくれたこと思い出したの」
「あれか…」
自分の朝の発言を思い出す。
「…伝えたいんだろ?お前の思いを」
「お前なら…サヤなら、大丈夫だよ」
あの時なんであんな発言をしたのかよくわからない。
だけど、
俺は知ってたんだ。
ずっとサヤが芸能界に憧れてたこと。
なのに
サヤはいつまでたっても
前に進まない。
誰がモデルのオーディションをすすめても
おばさんに臨時モデルを頼まれても
Yesということはなかった。
「あたしさ、前から芸能界に憧れてた」
サヤがゆっくりと語りだす。
「でも、同時に挑戦することが怖かった。
あたしなんかが目指していい世界なのか、上手くやっていけるのか、才能はあるのか…いろんなことが不安だったの。
今日けんちゃんにあんなふうに言ってもらえなかったら、断ってたかも。
だからね…」
サヤが小さく微笑む。
その姿は
なぜか可愛くて
愛しく思えた。
「ありがとう…けんちゃん」