瞬間、恋をした
逢 (BOY)
麗らかな春。
窓側の一番後ろの特等席。
現国のおばちゃん先生の話は、子守唄。
窓から入り込んでくる日差しはぽかぽか暖かくて、まぶたがだんだん重くなる。
昨日寝たの何時だっけな……。
こんなにも眠いのは、ご飯を食べたあとなのと、春の暖かい陽気と、先生の落ち着いた声のせい。
頭も重くて、限界だ。
そう思って机に伏せようとした瞬間。
「中谷(なかたに)くん、起きなさい」
その言葉に少しずつ目が覚めてきた。
そして顔を上げると、すぐ目の前に、さっきまで教壇にいたおばちゃん先生が立っていた。
「……うるせえな〜」
眠りを邪魔されたのと、わざわざ目の前まできて注意されたのとで、いらいらしてそうつぶやいた。
周りのクラスメートがくすくすと笑いながらこっちを見てくるのもわかった。
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