瞬間、恋をした



「なんで高梨さんまで、雑用やらされてんの?」



そう聞いたけど、高梨さんはなにも答えずにすぐに視線を手元へもどした。

だけど俺は一瞬くずした表情を、見逃さなかった。

高梨さんは眉をひそめ、「関係ないでしょ」とでもいうかのような、いやそうな顔をしたんだ。


……本当に話さないのな、こいつ。



「高梨さんも、授業中に居眠りしたわけ?」



負けじとそう聞いても、高梨さんはなにも答えない。


そういえば彼女、テストの順位でいつも
俺よりは上にいたような。

だから勉強ができないとか、そういうわけじゃなさそう。


とにかく、なんで高梨さんがここにいるのかはわかんないけど、どうやら"問題児"らしい。

まあたぶんその"問題"は、話さないことだと思うけど……。


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