瞬間、恋をした
他に寝てたやつだっていたのに、なんでいつも俺だけ注意されんだよ。
この先生だけじゃなくて、他の教科の先生もいつも俺ばっかり。
めんどくせえなー……。
「あなたはこのあとホームルームが終わったら、職員室まで来なさい」
「……は?」
「絶対に来なさいね」
いつもは垂れたような目をしているのに、そう言ったおばちゃん先生の目は、キッと俺のことをにらんでいた。
めんどくさ。
と、俺は小さくつぶやいた。
だけどその言葉は、ちょうど鳴った授業終了のチャイムによってかき消された。
号令係の「起立」という声に、一斉に立ち上がるクラスメートに合わせて、俺も重い腰を上げる。
「気をつけ、礼」
「ありがとうございましたー」
そのあいさつが終わると、急に教室はさわがしくなる。