瞬間、恋をした
恋 (GIRL)
わたしを囲む、4人の女の子。
3人はわたしを睨み、ひとりは涙を流している。
「アイの彼氏、あんたのこと好きになったんだって!」
「もしかして、女子とは話さないくせに、男子とは話してるの?」
「ちょっと顔がいいからって、高梨さんのやってることって最低だよ!」
どうせ。
……どうせ、わたしがなにを言っても、だれも信じない。
あの日以来、わたしがこの学校のだれかと会話したのは、数えるくらいしかない。
先生と……あとは、この間の、中谷くん。
だから、もしかしてこの泣いてる子は中谷くんの彼女?
「ねえ、なんか言ったらどうなの?」
「……」
ヒステリックに大きな声で叫ぶ彼女と目を合わせながらも、わたしは口を開かなかった。