瞬間、恋をした
すると、クラスメートで同じ部活でもある、仲の良い友だちの翼(よく)が俺のところまでやってきた。
「どんまい、歩夢(あゆむ)」
「翼だって寝てただろ」
「まあな。 でもほら、歩夢は先生たちに目つけられてるし」
「理不尽だよな〜」
そう言って、わざとらしく大きなため息を吐いた。
ここは、進学校でもバカ高校でもないような、ふつうの高校。
だからこそ、静かなやつやうるさいやつとか、いろいろな人がいる。
俺はその中で、べつに"問題児"っていうわけじゃない。
だけど目をつけられてる理由は――なんとなく、わかっている。
「歩夢は真面目に授業受けないし提出物だって期限守んねーのに、なんでそんなに頭いいわけ?」
「……才能ってやつ?」
冗談でそう言うと、翼は笑いながら「腹立つな〜」と言ってきた。