瞬間、恋をした
だからか、中谷くんは目を丸く見開いて驚いた顔をしていた。
「……でも、ごめんね」
「なんでそんなこと言うの?」
「わたしのせいで、きらわれちゃったね」
そう言うと、中谷くんは柔らかく笑って見せた。
その笑顔はとても優しくて、なんだか胸の奥がドキッと鳴ったような気がした。
「べつにきらわれたっていいよ。そこまで仲良くなかったし、俺には男友だちだけで充分」
そう言ってくれるのも、彼の優しさ。
「まあ、そのぶん少しでも高梨さんに好かれたとしたら、なおさらいいんだけど」
「え……」
笑っていた彼が、真剣な顔をしてそう言うから、目を合わせていられなくて思わず下を向いた。
「はは、ごめん。冗談だって」
この1週間、いつもしつこく話してくる彼を、気づけばいつも頭で考えていた。