3年間の好きをあなたへ…

卒業式当日、私はついにこの学校を卒業する。

あっという間の3年間。だけど楽しかった3年間。

ここは私にとって特別な場所。

産まれて初めて初恋を知った場所、大好きな先生に会えた場所だ。

だけどそれも今日で最後。

私の最初で最後の淡い恋は今日此処でこの日で終わりを迎える。

だから私は最後の勇気を振り絞り、放課後数学準備室の扉を開けた。


「…先生……」

「卒業おめでとう、もう此処には来ないかと思った」


そう言いつつ先生はいつもに増して優しげで、それでいて特別かっこよかった。

笑顔が輝いて見える。服装もいつものスーツとは違い、黒のストライプのカチッとしたフォーマル用のものだ。


「最後に先生の顔が見たくて…」

「いつものココアでいいか?」


そう言った先生は何故か嬉しそうで、その笑顔を見た瞬間やっぱりぎゅっと胸が締め付けられた。

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