彼女のことは俺が守る【完全版】
　しばらく自分のベッドで時間を過ごし、東の空から白い筋が引かれ始めた頃に私は起きることにした。時間は七時になっている。結婚式は十一時からとなっているのだから用意をするにしても十分な時間だろう。


　今になっても気乗りはしないが、このために準備をしてくれた、海斗さんと雅さんのことを思うと、私は頑張らないといけない。立ち上がり、窓際のカーテンをサッと開けると眩い光が私の部屋を満たしている。ムカついてしまうくらいのいい天気な空を見ながら、私は雨になればいいのにとさえ、思ってしまった。


　リビングに行くとまだ海斗さんは起きて来てなかった。


　私はいつもと同じようにリビングのカーテンを開け、窓を開けて空気の入れ替えをする。それから、キッチンに行き、コーヒーを準備する。今日は少しだけ落ち着かないからか、いつもより苦めのコーヒーを作ることにした。


　コポコポと音がし始めた頃、海斗さんの寝室のドアが開き、起きたままの姿の海斗さんが現れたのだった。私は優斗と元友達の結婚式で緊張しているのに、海斗さんは普通通りだった。


「おはよう。里桜」


「おはようございます。コーヒーはもう少し時間が掛かります」


「分かった」


　そう言うと海斗さんはリビングのソファに座ると、テーブルの上に置いていた新聞を手に取り、いつも通りに開いている。毎日と変わらない日常が私を少しだけ落ち着けさせるのだった。


「雅さんは九時には来るそうだ。仕事の打ち合わせもあるから、高取も一緒に来る」
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