彼女のことは俺が守る【完全版】
「ああ。最初は成り行きで始めたけど、今は楽しくて仕方ない。さ、里桜。まだ食べれるなら頼むけどどうする?」


「もう無理。食べられない」 


「なら少しゆっくりして帰ろうか」


 海斗さんは部屋に店の人を呼んで会計を済ませた。クレジットカードで払ったから値段は分からないけど、きっと高かったと思う。半分とは言わないけど、少しは払った方がいいのではないかと思って、海斗さんの方を見るとニッコリと微笑まれた。


「いいんですか?」


「何が?」


「私、少しは払った方がいいのではないかと思って」


「そんなこと気にしないでいいよ。俺が食べたかったのに付き合って貰っただけだから」


「でも、海斗さんのマンションに住まわせて貰ってから余裕はあるんです」


「こういう所で男の俺が払わなくてどうする?」


 申し訳ないと思ったけど、海斗さんの気持ちに甘えることにした。こういう素敵な場所で食事をご馳走することは出来ないけど、近いうちにマンションの部屋で食べる時に海斗さんの好きなものを作ってあげたい。海斗さんは何が好きなのかな?まだ、数えるくらいしか一緒に食事をしたことが無いから海斗さんが何を好きかは知らないけど、もっと海斗さんのことを知りたい。


「本当に美味しかったです。ありがとうございました」


「気にしないで。美味しかったらそれでいいから」
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