彼女のことは俺が守る【完全版】
　海斗さんはニッコリと笑ってくれたので私も自然と顔が緩む。


『写真を撮られた。焼肉店を出てすぐだ。嫌な予感がする』


　会話の内容はそれ以外分からないけど、海斗さんの顔を見ていると、それだけで事の重大さが私にもわかった。電話を切ると私の方を向くといつものような穏やかな微笑みを浮かべた。


「大丈夫だから」


　高取さんが海斗さんのマンションに来たのは一時間くらいしてからのことだった。マンションの部屋に入ってきた高取さんは海斗さんに負けないくらいに深刻な顔をしている。顔を顰めると言った方がいいのかもしれない。カバンからクリアファイルに挟まれた紙は驚くようなものだった。


「海。明日の週刊誌のゲラ刷りです。まだ、校正前ですがどうにか手に入れることが出来ました。内容は余りにも酷いものです。今回のことは狙われていたとしか思えないです。さっき、撮られたというのにこのようなゲラ刷りに写真が上がっているということは罠を張っていたということでしょう」


　海斗さんは高取さんからファイルを受け取り、中身を見て、一瞬で顔を蒼白にさせる。私も横から覗いてそのゲラ刷りに出来に驚いた。これは週刊誌の一ページを切り取ったようなものだけど、どう見て、そこには焼肉店から出てきた海斗さんを私が映っていた。私の顔は辛うじてモザイクが掛けられているけど、海斗さんの顔はハッキリと分かる。そして、その横にある煽り文字に絶句した。
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