Rainy's Love.


誰にでも明るくて可愛い遥香
スタイル抜群で優しい紫都

“お似合い”って言葉がまさにピッタリ

笑い合う二人を見つめながら
私は 小さく微笑んだ


「私、帰るね。あとは二人で楽しんで?」


「え、帰っちゃうの?一緒に呑もうよ〜」


「今度話聞かせてもらうから〜。ね?じゃあね」


カウンターを立つと アズが微笑み
私の耳元に口を寄せた

「今夜は空いてるから」


「...またね」


「...そ。気を付けてね、ルリ」


お金をカウンターに置くと
私は一瞬 遥香に顔を向けて笑顔を見せた

その刹那 視線を感じて。


視線は 紫都のものだった
その顔は先程までとは違う

余裕の無さそうな顔だった


「……ッ」


早足でBARの扉を開く

静まり返った外の街に消えていこうとした
その時


「ルリ……ッ」


「……ッ!!」


懐かしい香りが 私を包み込んだ

まだ身体に残っている感触
抱き締める強ささえも

あの頃と変わらなくて


「...なぁ」


振り向いたら 駄目


「ルリ...だろ...ッ...?」


そんな切ない声で 呼ばないで


「何とか言えよ...ッ!!」


嗚呼 私の負けだ

振り向くと
その瞳は私を確実に捕らえていて


「...ッ...何で、」


「...っ」


「どうして追い掛けて来...ンッ」




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