Rainy's Love.
「──これで良し、っと。」
服もBAR向けに着替えて
私は家を出た
街の灯りは
住宅の光から電飾の光へと変わり
夜を私に感じさせる
「少し、寒かったかもなぁ...」
季節は初春
夜はまだ少し肌寒く
心の隙間を 広げるようで
私を独りぼっちにする
「留梨奈〜」
BARの前に立つ 着飾った遥香
心なしか気合が入って見えて
ちゃんと女の子なんだな、と感じてしまったり。
自分には長い間 縁のない事な分
そんな遥香が眩しかった
「まだ来てないから、先に中で呑んでよ?」
「うん。私久しぶりだから一杯呑んじゃうかも。」
「送ってあげるから好きなだけ呑みなっ」
顔を合わせて笑うと
私達はBARの扉を開いた
座るのはカウンターの一番端
それは 今も変わらない
「いつものヤツお願い」
「はーい。てか久しぶりだね」
「そうね。今日は呑みたい気分だったの」
カウンターの向こうで営業スマイルを浮べるのは
ここの看板バーテンダーのアズ
「アズくん、私にも同じのお願い!」
「了解だよん」
彼を目当てに ここを訪れる女子は
少なくない
「ねぇ、彼氏ってどんな人なの?」
そういえば詳しく聞いたことが無かった
それに 今更ながら気づいた私
何となく聞いてみると
遥香はニヤニヤしながら語り始めた