Rainy's Love.
「初めて見た時は1人でカウンターに座っててね、一目惚れだったの。何というか、オーラがもう凄くて...」
“スッ”と目の前に置かれたカクテル
微笑むアズに 私も微笑み返す
そしてグラスに手をかけつつ
遥香の話に耳を傾けた
「見つけると必ず同じ席にいて...そうそう、留梨奈と同じカウンターの一番端!だからすぐ見つかるし、会う度に話してるうちに仲良くなってさぁ〜」
思わず グラスを握る手に力が入ったのが
自分でも分かった
私と同じ 座るのは決まって
カウンターの一番端の席
「独特な香りの香水使ってて、すっごくオシャレなのーっ!それに顔は勿論イケメン!最高でしょ??」
独特な香りの香水
綺麗な顔立ち
...まさか
そんな筈ない
きっとまた 私の思い込み。
「あ、留梨奈。彼氏着いたみたい!!今連れてくるから待ってて?」
「...ぁ、うん、分かった。待ってるね」
有り得ない
東京に居るはずも無ければ
こんなに広い場所で偶然出会うなんて
そんな漫画みたいな事 起きる筈がない
単なる思い込み
私がただ 貴方を忘れられてないだけ
「……ッ」
咄嗟にグラスの中身を一気に流し込んだ
酔って何もかも
忘れて仕舞えばいい