彼女は僕を「君」と呼ぶ
ひなたと影の距離
好きな色は紺色。
辛い物が駄目で甘いものが好き。
お兄ちゃんと呼ばれている。
此処の卒業生な生徒会長。
サッカーが上手い。
そして、素敵な婚約者がいる。
どんどん更新されていく小野寺教諭の情報にこそが、満島棗へと繋がる。そう思う様になった。
本日のスーツは青色に近い紺。誰だって似合う色ではない。座った椅子のキャスターを転がした。
「頼んで悪かったが、そんなに見つめられると捗らないな…」
苦笑交じりにそう言われてはっとした。見慣れすぎた背中は何時も遙か遠くにあることが通常で、今は目と鼻の先にある。
熱視線を送るには些か近すぎる距離だった。
「恰好良い小野寺先生をくまなく見てやろうと」
「なんだ?先生の恰好良さにとうとう葉瀬も気づいてしまったか。うんうん。着眼点は悪くないよ」
カラっとした笑い声と共に織り交ぜられるユーモア。
男女隔てなく人気があるのは、ただただ歳が近いだけではない。
「恰好良い小野寺先生まだですか?」
「今、恰好良く採点してるから」
「なんですかーそれ」
背もたれを前にして座った椅子は、誰にも使われていないのか、はたまたこうして偶然にも捕まえて手伝いをさせる生徒の為か。
地面を蹴ってぐるりと一周、二周。
強めに蹴って足を放す。ぐるりと回る遠心力に任せると、日差しが差し込む窓辺に背を向けた。
辛い物が駄目で甘いものが好き。
お兄ちゃんと呼ばれている。
此処の卒業生な生徒会長。
サッカーが上手い。
そして、素敵な婚約者がいる。
どんどん更新されていく小野寺教諭の情報にこそが、満島棗へと繋がる。そう思う様になった。
本日のスーツは青色に近い紺。誰だって似合う色ではない。座った椅子のキャスターを転がした。
「頼んで悪かったが、そんなに見つめられると捗らないな…」
苦笑交じりにそう言われてはっとした。見慣れすぎた背中は何時も遙か遠くにあることが通常で、今は目と鼻の先にある。
熱視線を送るには些か近すぎる距離だった。
「恰好良い小野寺先生をくまなく見てやろうと」
「なんだ?先生の恰好良さにとうとう葉瀬も気づいてしまったか。うんうん。着眼点は悪くないよ」
カラっとした笑い声と共に織り交ぜられるユーモア。
男女隔てなく人気があるのは、ただただ歳が近いだけではない。
「恰好良い小野寺先生まだですか?」
「今、恰好良く採点してるから」
「なんですかーそれ」
背もたれを前にして座った椅子は、誰にも使われていないのか、はたまたこうして偶然にも捕まえて手伝いをさせる生徒の為か。
地面を蹴ってぐるりと一周、二周。
強めに蹴って足を放す。ぐるりと回る遠心力に任せると、日差しが差し込む窓辺に背を向けた。