彼女は僕を「君」と呼ぶ
小野寺教諭を好きでなかったのならば、きっと出会うことはなかった。

彼が好きな彼女が好きだ。名前なんて覚えてもらわなくてもいい。

せめて、泣いてる時に「どうしたの?」と一番に聞いてやれる奴にはなりたい。

「私の入る隙間はない?」
「元から彼女とどうなろうなんて思ってなかった、だけど、それで久野さんを選ぶのは違うでしょ。久野さんとは友人でいたい」

そう久野に言うと、大きく息を吸い込んで口を一文字に閉じた。

女の子は強がるのが上手だ。ごめんと謝るのは違う。

「私も、満島さんが好きな葉瀬くんが好きでした」

その笑顔は、おれも好きだよ。

「ありがとう」
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