彼女は僕を「君」と呼ぶ
「私の方がずっと好きだった」
「うん」
「好きなのを知って困ってる顔が好き。笑うと目が無くなるところも」
「うん、おれもあの笑顔は好きかも」
「もう随分呼ばれてないけど、なつめって呼ぶ声も」
「先生の声、あったかいよね」
「…ずっとそこにいたの、ずっと、でも私はいつまでも妹だ」
その足はしゃがみ込む事はなかった。
繋いでいた手を指へと変える。絡めて漸く彼女の体温を知る。
「私馬鹿みたいじゃない?」
「そんな事ない、恋なんてそんなものでしょ」
「嘘」
「本当。でも、信用できないならおれもしようか」
「何を」
「馬鹿な事。満島さんはずっとそのまま背伸びしててよ」
これからもきっと、小野寺教諭が好きな君を好きでいる。
好きと言えない君に伝える事は躊躇われるから、その代わりに今度はおれも背伸びをしよう。
君の瞳に映れるように。
◆◇end
「うん」
「好きなのを知って困ってる顔が好き。笑うと目が無くなるところも」
「うん、おれもあの笑顔は好きかも」
「もう随分呼ばれてないけど、なつめって呼ぶ声も」
「先生の声、あったかいよね」
「…ずっとそこにいたの、ずっと、でも私はいつまでも妹だ」
その足はしゃがみ込む事はなかった。
繋いでいた手を指へと変える。絡めて漸く彼女の体温を知る。
「私馬鹿みたいじゃない?」
「そんな事ない、恋なんてそんなものでしょ」
「嘘」
「本当。でも、信用できないならおれもしようか」
「何を」
「馬鹿な事。満島さんはずっとそのまま背伸びしててよ」
これからもきっと、小野寺教諭が好きな君を好きでいる。
好きと言えない君に伝える事は躊躇われるから、その代わりに今度はおれも背伸びをしよう。
君の瞳に映れるように。
◆◇end