そんな結婚、あるワケないじゃん!
「クゥン、クゥン」


髪の隙間からペソの鳴き声がする。
腕を振り上げて探してみると、指の先を舐められた。


「ペソ……ヨシヨシ……」


目を閉じたまま頭を撫でた。

でも、何だかどうも違う。


(こんなに毛が長かったっけ…?)


おっかしーな…と思いながら撫で回す。
毛の無い部分を触り始めて、ようやくペソじゃないって気がついた。


(誰…⁉︎ 何…⁉︎)


ガバッと起き上がると隣に寝てたのは羽田で。

しかも何⁉︎
どうして裸なの⁉︎


(えっ⁉︎ えっ⁉︎ 何があったの昨夜……)


慌てて自分のカッコを確認する。
仕事から帰って着替えた部屋用のTシャツとズボンのまま。
きちんと着てるし、ブラもしてる。



(なのに、何で羽田は裸なの……?)



茫然としてる私の足元の床で、ペソは尻尾をフリフリ。
鳴き声も出さずにいるなんて、なんてお利口なんだろう。



「ペソ…おいで」


ベッドから下りて顔を洗いに行く。
ついでにシャワーを浴びようかと服を脱ぎ始めた。


「ペソも入ろうか?」


お風呂好きだもんね…と声をかけ、抱き上げた時だった。


キィ…と開けられたドアに立ち竦む。

ふぁ〜と大欠伸をしながら入ろうとする羽田に向かって、私は大声を上げた。


「ば、バカッ!いきなり開けるなーー!!」


「えっ…?」


声に気づいた羽田の視線がモロにこっちに注がれる。

私はモチロン全裸。

しかも、ペソを抱いてるから隠しようがない。



「ぎゃ〜〜〜!!」



バカバカ!羽田のバカ!!

なんてことやらかすのよーーーー!!!!



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